コロナウイルスワクチンについて

日本でもワクチン接種に向けて、話が進んできています。

現状でわかる範囲で記載していきます。

日本で接種される予定のワクチンは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3社によるものです。

A. ワクチンの種類

厚労省の資料より

①ファイザー

主に使用されているワクチンです。

-70℃で輸送し、解凍後に希釈が必要であること、希釈したら速やかに使用する必要があることなど、接種へのハードルが高いワクチンです。

ワクチンの効果は90%程度と高いとされています。これは、ワクチン接種をした上で発症した人数は、ワクチン接種をしないで発症した人数の10%程度であった、という意味です。

つまり、ワクチンを接種しても、以前と比べて10%程度の発症を認めます。

また、イスラエルで広範囲に接種をされていますが、その中で以下のような発表がなされています。

人口の1/4以上が接種して効果が出始めた

https://www.businessinsider.jp/post-228178

1回目のワクチンで85%程度患者数が減少し、2回接種で95%近く減少する。

https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-israel-vaccine-idJPKBN2AJ09F

感染しやすさは、人口の密集度合いにも依ると思いますが、イスラエルの人口密度は日本と同等です。

以下にイスラエルの感染者数の推移、日本の推移を示します。イスラエルはたしかに減っていますが、日本はそれ以上に減っています。そのため、ワクチンよりも、人々の行動のほうが大事だと思います。ただし、もとの生活(行動をあまり制限しない生活)に戻すためには、ワクチンは良い手段だと思います。

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なお、インフルエンザワクチンの効果ですが、30~50%程度であり、それよりかなり効く可能性があります。また、インフルエンザワクチンの接種率が30%台とされていますので、インフルエンザワクチンの接種率くらいで効果が出始め、さらに多くの人に接種してもらう必要があると言えそうです。インフルエンザは子どもたちが沢山接種してくれていますが、今回のワクチンは15歳以上などが対象で、子供は対象外です。成人のみで、人口の1/4以上接種する、というのは半ば強制投与にするのか、かなり利便性の良い接種会場を準備しないと無理だろうと推測されます。

日本で接種されるワクチンも、まずはファイザーのものになる予定です。市町村に準備された接種センターに1000本単位でワクチンが入荷され、その周囲の協力医療機関に100本単位で配送。中央の接種センターと周囲の医療機関で接種していくとされています。

私のような開業医の場合、インフルエンザなどで沢山の方に接種した~と思うときで1日40名程度です。そのくらいが限界かなと思います。100本単位で配送されるのであれば、ファイザーは開業医では無理だろうと思っています。

また、開業医の元に届いた場合、ワクチン1本を1.8ccで溶解し、5~6人分に小分けにし、それは6時間以内に接種するように、という条件が付きます。かなり厳しい条件ですね。

※副作用ですが、アレルギー反応が主のようです。10万人に1名程度の頻度で起きるとされています。日本の人口1億2千万人ので、仮に半分接種した場合6000万人。そう考えると、600名程度にアレルギー反応が出ることになります。頻度としては多めですが、重篤な副作用ではないとされており、そこまで問題ではないでしょう。

ただし、かなり痛い注射のようであること、筋肉注射であることがネックです。日本のワクチンはほぼ皮下注射ですが、筋肉注射であった子宮頸がんワクチンにおいて全身倦怠感や筋肉痛という副作用報告が非常に多かったです(そのため、接種が中止になった)。日本人において馴染みのない筋肉注射で、かなり痛いと推測されるワクチンを2回接種する、このことが結構大変なのではないかと思っています。

②モデルナ

ファイザーのワクチンと同等の効果があります。

世界的にファイザーのワクチンが接種されているので、モデルナのワクチンの実際の効果はまだ分かりません。

日本では武田製薬が提携するようです。

-20℃の搬送でよいこと、希釈が不要なこと、保存期間が比較的長いことから、通常の薬剤の流通と同様に回すことができる可能性が高いです。

おそらく、開業医での接種はモデルナのワクチンが主流になるでしょう。

③アストラゼネカ

メリットは安いことです。また今までのワクチンと同等の輸送経路で済むこともメリットです。

しかし、効果は少し弱いと推測されます。

その理由として、治験のデータが変な事が挙げられます。

1回目に規定量の半量を、2回目に規定量を接種した場合に、効果は90%。

一方で、1回目、2回目ともに規定量を接種した場合に効果が60%と発表されました。

量が少ないほうが効果が高いという報告です。

その後、効果が高いとされた群は若年者が多かったとのこと。

つまり、臨床試験として不正確なのです。

年齢関係なく接種した場合、さらに効果が低下する可能性があります。

おそらく50%程度の有効性なのだろうと思います。

若い人を対象にした臨床試験でも効果がやや弱いため、ヨーロッパでは55歳以下や65歳以下に絞ろうという動きがあります(臨床試験は55歳までだった)。

ワクチンが非常に安いのがメリットで、途上国などではアストラゼネカが主流になるでしょうが、先進国はファイザー・モデルナが主流になると推測されます。

政府発表では、 ファイザーから1億4400万回分、モデルナから5000万回分、アストラゼネカから1億2000万回分の納入予定とされていますが、効果面を考えるとまずはファイザーがメインと思われます。

B. ワクチン接種の流れ

1月27日、幸区の看護短大で、集団接種に向けたシミュレーションが行われました。

シミュレーションでは、想定以上に時間がかかった、という結果でした。

そのため、集団接種のみでは対応しきれないというので、診療所での接種が中心になるだろうという流れです。

川崎市や神奈川県から、協力をするかどうか、というアンケートが回ってきており、その回答期限が2月8日。アンケート結果により、今後さらに調整が進むと思います。

まず、2月中旬に一部の国立病院や労災病院の医師・看護師が対象となり接種をします。

神奈川県内は国立相模原病院と関東労災病院です。

限定した人数に接種し、副作用の確認、流れの確認をして、その後、3月に医療関係者、高齢者と流れていくと推測されています。

医療従事者の範囲、および病気を有する人の範囲の案を以下に示します。

※ワクチン接種への懸念

①準備品の多さ

大量の準備品があります。当初は、アナフィラキシーショックの際に、人工呼吸、気管挿管ができるように、酸素ボンベ含めて準備するように指示がありましたが、そのあたりは軽減されました。

②各種制約

ワクチン接種による対価は約2000円であると発表されています。2000円のうち、問診1300円、事務費500円、接種にかかわる技術料300円です。ちょっと馬鹿にしたような費用設定ですよね。

費用面がある程度つけば、クリニックを週に1~2回休診にして対応したいと思っていました。しかし、現在の費用設定は、日常診療をしながら並行してワクチン接種をする、という前提の費用だろうと思っています。

並行して実施する場合のネックが、接種後の30分間の経過観察が必要なこと、ワクチンを準備してから終了するまでに6時間という制約があること、1個のバイアルから5~6人分を準備して使い切る必要があることです。

つまり、1名接種したら別室で30分間の経過観察が必要で、それをワクチン準備をしてから6時間以内に5名(もしくは6名)実施する必要があり、これを通常診療と並行して実施する流れになります。

クリニックでの接種は、感情としてはやりたい、しかし実際には出来ない、というクリニックが多いだろうと思っています。

C. 最後に

医療崩壊は起きていたと思います(2月になり、大分緩和しました)。

神奈川県は濃厚接触者の洗い出しをやめました。

そして、先日川崎市医師会を通じて送られてきた依頼書です。

結構衝撃をうけました。

施設入居者は、コロナと診断がついた場合に以下のようにします、というものです。

延命処置を希望するかどうか、必ず確認するように。

死にそうになったら区役所に入院依頼をするように。ただし、平日日中のみ。

 (重症例は、夜間に救急車を呼ぶことは許されている)

蔓延期は、入院調整はしない。

自宅療養と同様に、施設療養をするように、という指示です。

このままでは色々と崩壊します。みんなで頑張っていきましょう。

ワクチンは、みんなのためです。みんな接種しましょう。