更年期障害について
何となく体調が悪い、眠れない、肩こりが酷いという方、多いと思います。当院にも多数来院頂いています。その際に、どのように治療をしていくのかを記載します。
更年期障害の診断について
臨床的には、 月経が来ない状態が12か月以上続いた時に、1年前を振り返って閉経としています。
血液検査では、エストラジオール(E2:女性ホルモン)の低下(E2<20)かつ、卵巣刺激ホルモン(FSH)高値(FSH>40)の場合に、診断となります。女性ホルモンを出せと刺激するホルモン(FSH)が上昇しているのに、実際の女性ホルモン(E2)が出ない状態です。
日本人女性では、平均年齢50歳とされます。 早い人では40歳台前半、遅い人では50歳台後半に閉経を迎えます。
閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を更年期といい、それに伴う各種症状を更年期症状と呼びます。その症状が強く、日常生活に支障を与えている状態を更年期障害といいます。
”閉経した”という診断は血液検査で実施可能です。しかし、その前後5年が更年期であることから、ホルモンがまだ出ている、閉経前5年の更年期の診断は困難です。
更年期障害の症状について
http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=14
日本産婦人科学会の更年期障害に関する説明の文章です。
更年期障害は、①血管拡張に伴う症状(顔がほてる、熱いなど)、②その他のさまざまな身体症状(めまい、動悸、頭痛など)、③精神症状(イライラなど)とされます。閉経前後のホルモン量も乱れに伴う症状が更年期症状になります。
治療について
治療は幾つかありますが、一番用いられるのは漢方薬になります。
①漢方
更年期障害で使用される漢方は、ツムラ23番 当帰芍薬散、24番 加味逍遙散、25番 桂枝茯苓丸になります。24番 加味逍遙散が一番一般的な漢方、虚弱体質な方は23番 当帰芍薬散、エネルギーが強く赤みが強い方は25番 桂枝茯苓丸を使用します。
漢方はジワジワと効くので、最初2週間で副作用がなければ、2か月程度使用いただき、効果を判定していきます。
②女性ホルモン
不足してきた女性ホルモンを補う治療になります。効果は強いですが、ホルモン補充に伴うリスクがあります。女性ホルモンにより、乳がんや子宮筋腫・子宮がんなどの発症頻度が増します。そのため、女性ホルモンは婦人科で処方するのが良いとされます。
③プラセンタ
人の胎盤から抽出したプラセンタ更年期障害に効果があります。プラセンタは人由来の物質を投与しますが、これが原因で感染症になったという報告はありません。しかし、投与後は輸血の提供ができなくなります。
プラセンタ注射は1回2~5アンプルを週に2~3回投与します。プラセンタは通常自費で投与します(1アンプル800~900円程度)。更年期障害に対しては保険適応があり、安く投与することができますが、1回1アンプルまでという縛り、45~60歳という年齢制限(更年期の診断がつく目安)があります。また更年期障害の診断のために、エストラジオールなどのホルモン値の測定も推奨されています。
当院で出来ること
女性ホルモンを測定し、閉経しているのかどうか調べることは可能です。月に1名程度測定をしています。その上で、漢方を処方している方が多いです。
プラセンタは希望の方がいらっしゃれば用意をします。保険適応で投与しても良いですが、自費で用量を増やした方が効くのではないかと個人的には思っています。勿論最初は1回1アンプルとして頻回に投与し、効果が足りないと感じたときに自費にして用量を増やすのも良いかと思います。
※当院にはプラセンタは常備していないので、ご希望を確認してから発注します。数日で用意できると思います。