認知症による交通事故など

認知症による交通事故などが相次いでいます。これに関する問題提起をしたいと思います。

・認知症鉄道事故裁判

2007年認知症を有する方が出歩きました。電車の脇のフェンスが施錠されておらず、そこから線路内に入り、電車にはねられました。
2008年にJRより振替乗車などに使った約720万円の請求を求める訴訟を起こされます。
約8年程度の裁判の末に、遺族の無実が確定しました。

認知症の方の監督責任は家族にはないことが確認されました。

家族の立場にとってみると、良い判決だと思います。
しかし、認知症の方が交通事故を起こした場合、認知症の方は判断能力がない、家族は監督責任がないとなると、誰が補償をしてくれるのでしょうか。色々と議論になった裁判です。
またこの裁判では、”積極的に介護にかかわっていた家族がいるならば、その家族は監督義務を負う可能性が高い”とのコメントを裁判官がしています。
そのため、今回の例では家族には責任なし、業者が全負担を負うという判断。しかし家族の内容によっては、家族の責任を認められ、全責任を家族が背負う可能性があるとの判断に至ります。

⇒認知症の方は取り繕い、また認知症であることを認めないため、運転させないようにすることが難しいです。ただ、昨今の事故のように、判断ミスから大勢を殺傷してしまう危険性があります。さらに、こうして認知症の方が起こした交通事故の責任は家族が背負う可能性を把握する必要があります。特に、同居している、介護にかかわっている御家族の場合は、認知症の親が起こした事故の責任を追及される可能性は大いにあります

・佐世保傷害致死事件

2011年6月、歯科医夫婦が親を虐待して殺したとして逮捕され、2015年3月まで約3年間拘留され続けた事件です。高齢者は皮下出血をきたしやすい。また暴れる認知症患者を抑えようとする結果として全身に紫斑(青あざ)ができ、それを虐待の証拠として、家族が逮捕され、長期間拘留されています。

世の中(司法など)は認知症のことを理解していないです。何気ない日常が突然訴訟の原因に陥る可能性があります。この佐世保の件では、川崎幸クリニック杉山院長が御家族側の意見陳述や大量の意見書を提出し、数年来の訴訟の上で無実になっています。杉山先生も、司法があまりに何も知らなくて驚いたと仰っていました。

まとめ

今後認知症の方が増えていくと、このような問題が増えていくと予想されます。社会システムが少しずつ整備されていますが、まだまだです。認知症の家族を1人で抱え込むと、何か問題が起きた際に証言してくれる人・助けてくれる人がいなくなってしまいます。そのため、周囲の方にしっかりと相談しておき、何かのときのリスクを減らすことをお勧めします。”認知症で困っていて、内科を受診していた”という診療録があるだけでも保険になる可能性があります。