年齢に伴う変化について

男性では80歳を超えたあたりから、女性では90歳を超えたあたりから、
・やせてきた
・すぐに疲れてしまうので、出歩くのが億劫になった
・食欲がわかない
・歩くのが遅くなった
などのお話をよく聞きます。
このような状態を”フレイル”といいます。
海外でFraity(加齢に伴う予備機能低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態を意味する言葉)をわかりやすく日本語にしたのがフレイルです。平成26年に日本老年医学会より提唱されました。

フレイルとは、加齢とともに心身の活力が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態で、健康障害を生じやすいハイリスクな状態です。

フレイルの概念の一部として、サルコペニア(筋肉量低下)がありますが、その指標として足の筋肉量があります。手で輪っかを作り、その輪よりも足が細い場合、死亡リスクが3倍になるとの報告があります。
フレイルは健常と要介護状態の中間、つまり要介護に至る一歩手前とされていますが、この状態で適切な対応を取られていないと、急な要介護状態に陥ります。”1週間前までは元気だったのに・・・・”と、ご家族は困惑して、訪問診療の依頼をします。
クリニック開業前の約6年間、私は訪問診療をしていましたが、こういう急な体調変化に対して、訪問診療の依頼を沢山受けました。ご家族にとっては”急”と感じていても、よく話を伺うと、数年前から動かなくなったとの声をよく聞きます。皆さんの周りに、このような方はいらっしゃいますか?
平均寿命と健康寿命は約10年の差があります。この10年間、要介護状態として生活をします。ここ数年、要介護者を減らす、健康寿命を伸ばす(平均寿命との差を無くす)ことに行政も積極的に取り組んでいます。東京都医師会のページが非常に分かりやすいので、リンクを貼っておきます。