熱が出ました
”熱が出てしまった”と来院なさる方が増えています。
with コロナの時代。熱が出てしまったときの対応を記載します。
①この熱はコロナ?それ以外?
正直、わかりません。
検査をしないと、はっきりしたことは言えません。
ただ、検査をしている実感としては、
1回でも38℃以上の熱が出ている人は陽性のことが多く、
お腹の症状(下痢、腹痛)+熱のみの場合は陰性のことが多いです。
2022年1月~オミクロンの流行があります。
オミクロン株は症状が軽いです。
1月下旬のオミクロン流行期、熱がある人の7割ほど、風邪症状の5割ほどがコロナだという体感です。
コロナの検査には2つあります。状況に応じて使い分けをして、判断します。
・PCR検査検査→正確性は約8割です。唾液を採取してもらって検査をします。発症から24時間以降の検査が有効と言われています。
メリットは少量のウイルスでも検知できること、自己採取ができるため、検査の際に周囲に移す可能性が低いことです。
デメリットは、検査結果が出るまでに時間を要することです。
・抗原検査→正確性が6~7割と低下します。ウイルス量が多くないと反応が出ません。
そこで発症から24時間経過していること、症状があることが条件になります。
また正確性が低いため、「陰性=感染していない」と断言することができません。
以上のことから、以下のように当院は対応しています。
発症日→PCR検査でも抗原検査でも、結果は出ません。元気なら待ちましょう。
発症2~→抗原検査をします。
以前はPCR検査が主体でした。しかし、抗原検査の正確性があがったこと、ウイルスの残骸だけでもPCRは陽性になること、抗原陽性=感染性があること、などから、抗原検査が主に実施されています。
いずれの場合にしても、来院時間の調整があることから、必ず医療機関に電話してから受診してください。
②この風邪は経過をみても良いの?
ウイルス感染の場合、時間とともに治ります。しかし、細菌感染症の場合には、抗生剤を服用しないと改善しません。
そのため、今の風邪が抗生剤が必要な風邪かどうか、が重要になります。
まず、風邪というとどのような症状を思い浮かべますか?
”熱” ”だるい” ”関節が痛い”
このような症状は、インフルエンザ様症状といい、ウイルス感染症共通の症状です。
風邪の9割がウイルス感染症です。
1割の細菌感染症、それは急性扁桃炎と急性副鼻腔炎です。
・急性扁桃炎
急性扁桃炎は細菌感染症なのに、インフルエンザ様症状を呈します。
扁桃腺をチェックしましょう。感染すると、白く汚くなります。
首の付根を押すと痛みがあるときも、扁桃腺が腫れている可能性があります。
扁桃腺が腫れている、汚い場合には、急性扁桃炎ですので、これは抗生剤を服用する必要があります。
急性扁桃炎は、高熱、関節痛を伴うことが多く、ウイルス感染症と症状が酷似します。
まずは”喉をチェック”。問題なければ、1日経過をみましょう。
扁桃腺が汚い場合には、医療機関に行き、抗生剤の服用が必要か、診療を受けましょう。
・急性副鼻腔炎、急性中耳炎
風邪をひくと、多くの方が喉が痛くなります。その後、鼻水、咳と症状が変化します。
一旦引いた鼻水が再度ぶり返してくることがあり、それを副鼻腔炎と言います。
そのため、急性副鼻腔炎は、風邪から数日経過して発症することが多いです。
例外はお子様で、急激に副鼻腔炎になることがあります。また耳が近いので、中耳炎になってしまうこともあります。急激に進行した副鼻腔炎・中耳炎は、「頭が痛い」「耳が痛い」という症状になります。
激しい頭痛や耳痛を伴わない急性副鼻腔炎は、抗生剤を服用すると少し早く改善しますが、内服しなくても自然に軽快します。内服しないと3週間、内服すると2週間で治る、と言われています。
つまり、喉が腫れていて白い、激しい頭痛や耳痛がある場合には、病院受診が望ましいですが、それ以外は自然に改善しますので、家で経過観察でも問題ありません。
③受診の際の注意
コロナウイルス感染症の診療拒否などが問題になりました。
そこで、熱、風邪症状のある人を診療すると、診療費が上がることになりました。
具体的にはトリアージ加算300点が算定されます。
これに加え、初診料・処方せん料などで300点。合計すると約600点の診療報酬になりました。
3割負担の患者様で1800円になります。
このように医療費は上昇しています。
検査をする場合には、そこに数千円費用がかかります。
コロナ抗原キットは薬局で購入できます。各自検査して、市販薬で経過をみるのも良いのかもしれません。
受診なさる場合には、必ず医療機関に事前に電話をお願いします。ー