薬整理の実際を。
週末に、今までどのような人生を歩み、医師になったのかを記載させていただきました。多くの方に読んでいただき、またコメントも頂けたことは非常に励みになります。
また詳細を少しずつ記載していきます。
今日のテーマは、薬の減量について。
僕がこの地で開業をしようと思ったのは、妻が生まれ育ち、お世話になった土地であるから、と以前に記載をしました。
その妻が一番気にかけている90歳代の恩人のことをご提示し、実際の減薬についてお話します。
恩人さんは、妻の育てのお婆ちゃんになります。保育園、小学校が終わった後で、その方の家で生活をして、本当にやさしく育ててくれました。妻にとっても、幸せな思い出のようです。
そんな恩人の記憶力が低下し、日常生活に支障をきたし始めました。
この恩人を支えたいと思い、今月から診療を開始しています。
その方の処方箋から。
・コレステロールの薬
・高血圧の薬2剤
・鉄剤
・胃薬
・高尿酸血症の薬
・利尿剤
を朝にまとめて飲んでいました。
前の先生が飲みやすいようにと、一包化して朝にまとめてくれています。
まとめてくれているため、しっかり飲むことができていたようで、本当に良い配慮をして頂いていたと思います。
しかし気になる薬がいくつかあります。
・ コレステロールの薬
コレステロールを下げることで脳梗塞の予防につながるとされています。しかしご高齢になると低栄養に傾き、コレステロールは低下します。さらに、90歳代の方に対し、いずれ起こる可能性のある脳梗塞を予防する必要性がどのくらいあるのか。内服すれば100歳ころに起きうる脳梗塞を予防できるのかもしれません。どうでしょうか?必要だと思いますか?
・高血圧の薬
血圧を下げることで、脳梗塞、心筋梗塞の予防になります。これも上記同様ですね。一方で、血圧が下がりすぎると活気がなくなります。果たして降圧をそこまでするべきなのか?
・鉄剤
鉄剤の有名な副作用は、胃の不快感や食欲低下です。赤みの肉・魚を摂取なさらないので、もちろん鉄分は低下します。それを補う効果と、その薬を服用することで起きうる食欲低下を天秤にかけると、不要なことが多いです。
・利尿剤
足が浮腫むと利尿剤が開始になっていたようです。
利尿剤を飲むと、非常に気持ちが悪くなり、だるくなる方が多いです。
足の浮腫は、体の水分のバランスから起きることが多いですが、利尿剤は体中の水分を減らす薬なので、浮腫んでいない場所からも水分を抜き、それが倦怠感につながります。
コレステロールの薬を中止、鉄剤を中止、利尿剤を減量としました。
次回血液検査をして、利尿剤を中止、高尿酸血症の薬を中止したいと思っています。
また降圧薬も夏までに減量する予定です。
これらに、ご家族様の希望である認知症薬を少し追加しました。
錠剤の数としては2剤中止・1剤追加で、総数は1錠減りました。
この後どうなるのか、また記載します。
薬はこのように理論に基づき、減量をしていきます。
どうですか?飲みすぎている方、いませんか?