コーヒーブレイク<ドラマ 白い巨塔について>

ブログを記載している現在、白い巨塔が数日間放映をされています。

白い巨塔に描かれているような教授選はあるのか、こんなにドロドロしているのか、気になると思います。

<教授回診はあるのか?>

答えは、Yesでもあり、Noでもあります。

テレビのようにぞろぞろと部下を引き連れて行う教授回診は減ってきました。

以前はありましたね。

十数年前、僕が学生時代に、通っていた私立大学の附属病院では一部残っていました。

学生と研修医を引き連れて約10人くらいで歩くような印象でした。

私立大学は医師が無給で雇用されていました。役職のある人、助手とか准教授は、通常1名分の給料を2人で割ってもらっていました。医師として勤務する以外にも研究をしますが、研究はお金を生みません。医師として勤務することへの給与ということで、みんな0万~15万円くらいしか給与がありませんでした。安月給で大量に雇用できた影響で、医局員は100人体制だったので、賑やかでしたね。”時給にするとコーヒー1本にもならないよ”と、愚痴をこぼしながら働く先輩方の思い出があります。

そういう大学ですら、ぞろぞろとした教授回診は辞めようという風潮でした。

十数年前がこんな状態なので、今ではおそらく無いだろうと思います。

僕が大学を卒業してから勤務した公立病院では、医局員が少なかったです。大きな医局でも50名程度。私立と比べると半分以下ですね。

公務員になってしまうため、雇用できる人数に限りがあるからです。

ちなみに、研修医は特別採用といって、公務員枠以外での雇用になります。必要最低限の補償をつけた公務員、という印象でしょうか。日雇い労働者としての枠での雇用になっている病院もありましたので、まだ良い方でしょうか。

特別採用の研修医と若手医師がいて、それ以上は公務員になります。公務員として雇用できる人数は行政の予算により決められています。”同じ待遇(助手など)は5年まで”という縛りがあったので、役職が上がらなければ5年で必ず移動、という扱いでした。

研修医時代は給与20万+当直手当(残業手当なし、住宅手当なし、交通費のみ支給)、

その後の若手医師の時は給与28万+当直手当(残業手当なし、住宅手当なし、交通費のみ支給)、役職が付くと30万+各種手当、さらに役職ごとに+1~2万/月、というイメージです。

教授だからといって、高給取りではありません。教授でも給料は40万円くらいになるのかなと思います。

教授は会社で言う部長のようなポストですので、妥当でしょうか?

この給与に加えて、バイト代が入ります。バイトに関しては後日。

教授になると各種学会や教授会などがあり、バイトに行くことができず。さらにバイトとして雇用する側としても”教授”と聞くと気が引けるため、教授はバイト先が無いということもあります。そのため、教授の方が給料が安いなんてことも良くあります。

<教授って金持ちなの?>

上記の通り、No、ですね。

勤務医の平均年収が1200万(月収で80万くらい)、開業医の平均年収が2500万(月収で180万くらい)と言われます。開業医の場合は、この収入から機具代やら、クリニックの維持費やら、開業資金の返済やら含まれるので、実際には勤務医と同じと言われます。(まだまだ開業したばかりの僕は、月収はマイナスです。トホホ)

それと比べると教授の給与は低いですね。

普通に働いた方が稼げるけど、それよりも名誉を取る方々。それを支える家が裕福な人が多く、その意味では金持ちなのかもしれません。

 <教授は手術がうまいの?>

昔は Noでした。今は、どちらともいえないですね。

教授になるためには臨床実績よりも”論文”になります。研究をして沢山論文を書いた方が教授になります。そのため、余り臨床経験のない人が以前は多かったです。

僕の父親は外科医でしたが、その当時の教授は手術をしたことがなく、”執刀医 教授”となっている時は、最初の切開だけを教授がすることが多かったと言っていました。

最近では臨床経験も重視されるようになってきたので、診察・治療もしっかり出来る教授が増えてきた印象です。

あと、外科に関しては手術器具が発達しました。昔は切除した腸管をきれいに縫い合わせていくのにテクニックが必要でした。少しでも漏れてしまえば腹膜炎になってしまうので、慎重に縫っていたそうです。

最近は、縫合機という機械があり、繋げたい腸管を機械で挟み、バチンとホッチキスを止めるように縫い合わせてくれます。こうした医療器具の発達により、昔のようなブラックジャックのような医師は少なくなりました。

アメリカでは、一般外科の上位に、脳外科、耳鼻科、心臓外科など、さらに修練を積むべき外科が位置付けられています。これらの科は未だに技能による差が大きいので、まだブラックジャックのような医師がいますね。

<教授選はどういうもの?>

教授選は、最近は公募になっています。

自薦、他薦で、候補者が集まります。

論文の数や、その論文のインパクトファクター(雑誌に対する格付け)により、まずは数人に絞られます。他薦の場合には、ご自身と関係ないところで教授候補になっていたというのがあるようです。

その後、教授選が開かれますが、基本的には周囲の雑音の入らない閉ざされた環境で実施されているので、教授選に選挙の力学は入らないとされています。

実際は、そんなことないですけどね。

大学にいた際に、ドロドロとしたものは何回も拝見しました。

探偵を雇い、不倫現場を撮影して、病院に撒くとか、教授候補に辞退させるように圧力をかけたとか。テレビよりドロドロしていて、ブログには書くことができません。

医局員を巻き込んだ争いになることは徐々に減っています。~派と~派が戦い、負けた方は全員医局を去るというのは余り聞かなくなりました。それよりも、自分の大学出身の先生と外部の先生の戦いの方が良く聞きますね。ドラマのようなドロドロの教授選を僕は聞いたことがありません。

医療ドラマは、注目を浴びやすく、よく放映されています。半分くらいは視聴して、半分くらいは視聴していません。また気になることがあれば、記載していきます。