花粉症について ③減感作療法

減感作療法について記載します。

②対症療法は、あくまで症状を減らす治療です。

一方で今回記載する減感作療法はアレルギー体質を改善させる治療になります。

アレルギー物質を少量摂取し、体に慣らしていく治療法になります。

数日に1回注射をする皮下投与法と、口腔内接種をする舌下免疫療法があります。

世界的には昔から実施されている治療法です。アレルゲンに対して体が慣れていくため、アレルゲンが触れたときの反応(感作)が減っていく治療です。減感作するためのアレルゲンが日本に存在しておらず、実施する場合にはアメリカから抗原を輸入する必要がありました。しかし、日本とアメリカでは植物や生活環境が違うため、同じアレルゲンを使用することに不安があります。

そこで厚生労働省やアレルギー協会などが協力し、2014年にスギの日本人用のアレルゲンエキスであるシダトレンが販売開始になりました。

シダトレンは液体であることから飲みにくさがあり、改良されたシダキュアが開始になりました。急いで開発したシダトレンと比べて、用量を調整する時間があったとのことで、シダキュアの方がより効果があるとされています。

減感作療法は3~5年にわたって治療をしていきます。その流れを記載します。

(ダニアレルギー用のミティキュアも流れは基本は同じです)

①スギアレルギーであることの診断をします。

いくつか方法はありますが、血液検査でスギへの免疫反応が強いことを調べるのが一般的です。

②初回投与は院内で実施します。30分程度院内で経過をみます。

口の中がかゆいという副作用が出る方が多いとされています。副作用が出てしまう場合には、抗ヒスタミン剤を一緒に処方します。舌下という特殊な治療法なので、その注意事項は治療開始時にご案内しますが、前後2時間は入浴や運動を避け(血流が良くなるとアレルギー症状が強くなるため)、内服後10分くらいは飲水・食事を避ける必要(口腔内より吸収するため)があります。

③初回投与はクリニック内で実施しますが、それ以降は1日1回家で服用します。

④初期投与量で1週間服用後、内服量を増量します。最初の1週間は慣らしの量、2週目から治療量になっています。

初回投与から2週間後に再診していただきます。

増量をする際に口腔内掻痒感などが出る方が多いため、最初の1か月くらいは抗ヒスタミン剤を併用していくことがあります。

⑤4週目に受診いただき、副作用の確認をします。

大丈夫であれば、4週間ごとに来院頂きます。

治療は3年~5年(できれば5年)が推奨されています。

約7割の方に効果が出ます。治療開始の翌シーズンは花粉症の時期に抗ヒスタミン剤が必要になる方が多いですが、翌翌シーズンからは薬が不要になる方が多いです。

5年間の治療の場合、治療終了後からも約8年間にわたり抗ヒスタミン剤を飲む必要のない状態になる方が多いとのことです。

オンライン診療

治療は長期にわたります。またインフルエンザの流行時期の場合には通院を躊躇う方も多いです。そのため、オンライン診療を併用しながら対応している医療機関があります。オンライン診療を併用する場合には、月に1回オンラインで、3か月に1回通院で治療が可能です。当院でもオンライン診療での減感作療法を開始予定ですので、気になる方は御来院ください。