コレステロールが高い
健康診断でコレステロールが高いと指摘を受ける方、多いと思います。また、最近ではサントリーがCMで「コレステスルーやめましょう」とキャンペーンをやっています。
https://www.suntory.co.jp/softdrink/iyemon/iplus/cholesterol/
一方で、コレステロールは高い方が長生き??というニュースが流れたこともあります。日本脂質栄養学会という学会が、「コレステロールが高い方が長生きする」といったガイドラインを発表して騒がれました。
では、どうすれば良いのでしょうか?
コレステロールが高い方が良い?低い方が良い?
日本脂質栄養学会の発表に対し、多くの医師は懐疑的です。この学会の発表では、”死亡”のみにFocusを当てています。昔から言われていることですが、”太っている人の方が長生き”です。しかし、”痩せている人の方が健康寿命が長い”です。つまり、痩せている人は、健康な状態が長く、太っている人は、寝たきりになってからが長いです。太っている人の方が蓄えがありますので、仮に食事がとれなくなっても長生きしますよね。
同じことがコレステロールにも言えます。低い方が健康寿命が長く、高い方が寿命は長いと思います。
健康寿命が長い方が良いですよね?
ゆえに、コレステロールは低い方が良い、と考えてられます。
コレステロールの治療適応は?
コレステロールは動脈硬化の原因になります。
動脈硬化を起こす因子は、①タバコ、②糖尿病、③高血圧、④コレステロール、⑤家族歴、とされます。
そして動脈硬化の結果として、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こします。
①心筋梗塞などの既往がある方
⇒再発を予防するために治療を開始します。
②脳梗塞の既往の方、腎臓の機能が悪い方、糖尿病の方
⇒動脈硬化が進行していることが多く、治療をすることが推奨されます。
③その他の方
⇒リスクは低いですが、血圧、タバコなどを加味して判断します。
男性 喫煙者が一番リスクが高く、また血圧が高い方が高リスクになります。一方で、女性は60歳を越えなければリスクは低いままです。
これを分かりやすくしたのが、日本動脈硬化学会が公表しています。
こういう結果を見ながら、薬を使用する必要性があるのかを判断していきます。
大まかなイメージですが、男性は30代からコレステロールが高くなり、50歳以上で薬剤投与を検討。
女性は45歳ころからコレステロールが高くなり、60歳以上で薬剤投与を検討。
女性ホルモンがコレステロールを下げる効果がありますので、閉経前の女性は加療の必要性がないことが大半です。
治療方法は?
運動をする、体重を減らす、動物性の油から大豆などに切り替えるなど。しかし、これら生活習慣の改善では、殆ど改善しません(食事・運動を思いっきり頑張っても、余り下がりません)。そのため、多くは薬剤投与となります。薬剤は1日1回、多くは1回1錠で十分に低下します。
コレステスルーはしてはいけない?
基本的にはスルーで良いと思います。
糖尿病、心筋梗塞後、脳梗塞後の方は治療をします。
しかし、多くの方は、コレステロールのみが異常値になり、病院を受診なさいます。そのような方はスルーで良いです。
コレステロールが高いことで、動脈硬化の原因になります。そして最終的に脳梗塞や心筋梗塞になります。脳梗塞・心筋梗塞の予防として、コレステロールの薬を服用します。
低リスクの方では、薬を服用することで、10年で1%程度の発症予防になります。
コレステロールの薬は、「掛け捨ての保険」と説明をしています。10年で1~10%程度のリスク軽減をする”掛け捨て保険”という概念で良いです。1~10%に当たり入っておいてよかったと思うかもしれないですし、99~90%になり入って無駄だったと思うかもしれません。また、内服を開始したら、原則は90歳まで加入し続ける保険になります。そのうえで治療を受けるかどうかを検討頂くと良いと思います。
治療は、タバコを吸う男性は45歳ころから、タバコを吸わない男性は55歳ころから、女性は60歳ころから開始するのが一つの指標となります。