肺気腫について

肺気腫は、現在ではCOPDといいます。日本語では、慢性閉塞性肺疾患、といいます。

概念

タバコにより、肺がブクブクになった状態を肺気腫と言いますが、これに慢性気管支炎の病態を合わせたものとしてCOPDという概念になりました。

肺気腫とは、肺がブクブクになった状態です。弾力がなくなります。使いはじめの風船は、良く膨らみ、よく萎みます。一方で、使いふるされたものは、膨らまず、萎みにくいです。

息を吐いた分だけ吸うことが出来ますが、肺気腫になると息を吐くのに時間がかかります。

通常の方は1秒間で空気の7割以上を吐きますので、次の息継ぎでも大量の息を吸うことが出来ます。これが1秒間で3割しか吐けなくなったとします。息を吐ききるに約3秒かかります。ゆっくりした呼吸は苦しくありません。しかし、階段を登るときや運動をするときなど、酸素の必要量が増えて1秒に1回呼吸をします。3割しか吐けていないので、新鮮な空気が僅かしか入ってきません。苦しいので呼吸のタイミングがもっと早くなり、より新しい空気を吸えなくなります。こうして苦しいと感じます。

慢性気管支炎とは、常に気管に痰がらみがある状態です。

つまりCOPDとは、常に気管に痰がらみがあり、動くと苦しくなる病気です。どのくらい苦しいのかというと、苦しすぎて休まる時がないので呆ける暇がないという程です。認知症になる人は少ないです。

治療

①禁煙すること

②気管の拡張剤を吸うこと

③体力をつけること

COPDになると、新鮮な空気を吸えなくなるので、酸素飽和度(体に入っている酸素の濃度)が低下します。おおよそ、健康な人が富士山の山頂にいるのと同じくらいの酸素飽和度になります。普通に生活をしているつもりが、常に高所トレーニングをしていることになるので、体力を消耗します。そのため、たくさん食べて、たくさん歩いて体力をつけていくことが大事です。

在宅酸素といって、酸素ボンベを持ち歩いている方をよく見ると思います。大体COPDが原因で酸素を吸っています。この酸素療法の目的は”酸素を吸うことで歩いているときの苦しみを和らげ、散歩をして貰う”ことにあります。歩くために酸素を導入していることを是非覚えておいてください。

④風邪をひかないこと

風邪をひくと、肺へダメージがすすみ、ぐっと肺の機能が低下します。ひどいと入院に陥ります。予防接種をしっかりとしましょう。

⑤禁煙すること

タバコは害になります。COPD以外にも、脳梗塞、心筋梗塞、食道癌など、タバコは多数の病気を引き起こします。ニコチンの依存症というのは病気です。禁煙補助薬を使って、禁煙をしていきましょう。病気の治療をする上で、禁煙治療は基本になります。必ず禁煙をしましょう。

※煙草により、肺がどの程度ダメージを受けているのか、呼吸機能検査(肺年齢検査)で分かります。喫煙歴のある方は検査をしましょう。