高コレステロール血症・高脂血症について

健診を受診なさった際に高値と指摘されている方も多いと思います。
コレステロールが高値な状態が持続すると、動脈硬化の原因になるといわれています。薬を飲むべきかどうか、悩んでいる方が最も多い病気なのかなと思っています。

<基準値> (動脈硬化性疾患予防ガイドライン2014版より)
LDLコレステロール血症
 検査値:LDLコレステロール ≧ 140mg/dl
 (悪玉のコレステロール:動脈硬化を促進する)


HDLコレステロール血症
 検査値:HDLコレステロール < 40mg/dl
 (善玉のコレステロール:動脈硬化を予防する)


トリグリセライド血症(高脂血症)
 検査値:トリグリセライド(中性脂肪) ≧ 150mg/dl

中性脂肪(トリグリセライド)は直前の食事の影響を受けるため、空腹時採血をする必要があります。

<高値だとどうなる?>


コレステロールや中性脂肪が高いと、動脈硬化が進み、脳梗塞や心筋梗塞の原因になりうるといわれています。また、中性脂肪を溶かすホルモンは膵臓から出るため、高度に中性脂肪が高い場合には膵臓が頑張り、結果として急性膵炎になってしまうことがあります。

と、教科書的なことを書きましたが、果たして飲むべきか。九州にある久山町研究で、LDLコレステロールと心筋梗塞およびアテローム血栓性脳梗塞(脳梗塞の3分の1)との相関関係がはっきりしており、また他の研究でスタチン内服した人は2割から割程、脳梗塞発症を減らしたと報告されています。つまり、心筋梗塞や脳梗塞になりたくなければ、飲んだ方がよいと思います。以前にバイアスピリンは100人の脳梗塞再発のうち1人の再発予防をすると書きましたが、スタチンの方が予防効果が大きいと思います。男性なら45歳から、女性なら60歳から、内服をお勧めします。日本人の三大死因は、脳卒中、心筋梗塞、癌です。脳卒中と心筋梗塞は動脈硬化との関係が強く、動脈硬化は高血圧・糖尿病・高コレステロール・タバコがリスクとされます。これらを下げていくことで、寿命は延びます。特にコレステロールは薬を1粒飲めば下がります。どうでしょうか?

<治療>


女性ホルモンが出ている間(女性ホルモンがコレステロールを下げる効果があります)は、運動、食事治療をまず行い、下がらなければ薬物治療になります。
男性の方、閉経後の女性は、薬での治療が望ましいとされています。

薬はスタチンと言われているものが主流です。薬では、クレストール、リピトールが主です。

<まとめ>

実際に内服する方が良いのかどうか、年齢や生活習慣、病気への考え方などを総合的に判断して決めていきます。
健診で異常を指摘されている方、動脈硬化がある可能性がある方は、クリニックを受診していただき、治療が必要かどうか相談なさることをお勧めします。動脈硬化を測定する機械(血管年齢がわかる機械)がありますので、その結果を見たうえで判断でも良いと思います。まずは一度ご相談ください。