弱ってしまったら、どうすればよいの?
フレイルという、要介護の前段階であれば、適切な対応で回復しうると、前の内容で記載しました。実際に何をするのがよいのでしょうか?
老化を防ぐには以下の項目が大事です。
1. 社会と交流を持ち続けること
2. しっかりと食事をすること
3. 歩くこと
フレイルに陥ったときは、状態を改善し、さらに老化を防ぐ上記の3つのことをやれる状態まで戻すことが必要になります。
そのために、まずはフレイルに陥った原因を調べる必用があります。
原因としては、薬が過量である、脱水や肺炎などの体調悪化がある、うつ症状がある、認知症がある、というのが多いです。
原因と対応について、記載していきます。
1. 薬の過量について
最近、新聞などでも騒がれるようになりました。読売新聞の記事を載せました。
病院にいくと、
血圧が高いですね、薬を増やしましょう、
痰が絡みますか、痰切りを飲みましょう、
眠れないなら睡眠薬を飲みましょう、
健康が不安なら安定剤を飲みましょう、
と薬が増えていきます。元気なうちは、これで問題ありません。
動けなくなると代謝が落ちていきます。そうすると、薬が効きすぎてしまいます。特に、血圧の薬、コレステロールの薬、睡眠薬、安定剤は体調不良の原因になることが多いです。これらの薬を多数飲むと、転倒の危険性も増すと言われています。
訪問診療をやっていたとき、まずは全面的に内服薬を中止して、元気になったら最低限再開することをやっていました。これだけでも元気になります。
例えば、血圧の薬も、ご年齢や状態に応じて調整が必要です。日本老年医学会の65歳以上の高血圧治療に関する基準です。フレイルや要介護状態になるにつれて、徐々に治療を弱めるように記載しています。実際には、これを理解して調整している医師は少ないと思います。
2. 体調悪化
高齢者は症状に乏しいです。熱が出るためには大量のエネルギーが必要になります。基礎代謝の低下した高齢者では、熱を出すエネルギーがないため、重度の肺炎でも熱がないというのをよく経験します。
若い人の風邪では抗生剤は余程でない限り不要とされますが、高齢者が発熱した時(微熱でも大きな体調変化をきたしている可能性があります)は抗生剤を飲んだ方が改善することが多いという報告もあります。代謝の下がった高齢者が熱を出すというのは、大きなことが体の中で起きていると思った方が良いです。
ほかにも、ホルモン異常(甲状腺機能低下症、副腎皮質ホルモン低下症)に伴う活動性の低下が原因のことがあります。
3. うつ状態
今まで出来ていたことが出来なくなるというのは精神的な負担になります。うつ状態から活動性が低下してフレイルに陥る可能性があります。この場合には抗うつ薬の調整が必要です。うつ病から活気がなくなる方は非常に多いですが、認知症とうつ病の症状が似ているために診断されていない方も多いです。認知症は老化ですので治すことが難しいですが、うつ病は心の病気なので適切な治療で改善します。
日本健康倶楽部が出している うつ病かどうかのチェック表が、非常にわかりやすいので、リンクを貼っておきます。うつ病を疑ったら、クリニックを受診することを勧めます。当ブログのうつ病の項目もご参考にして下さい。
https://www.kenkou-club.or.jp/pdfs/utsu_shitajiki.pdf
4. 認知症
認知症に伴う活動性の低下を認める場合があります。
認知症に関しては、別の記事で記載しますが、重要なことは介護サービスの調整になります。
以上のように、何が原因で、どうすればよいのかを探ります。そして回復した上で、継続的に老化を防ぐ対処を取っていく必要があり、その中心は介護調整、ケアマネジャーになります。この辺りも別の記事でまとめます。
まとめ
フレイルに陥った場合、その原因を調べ、対応を取ることができる医師を受診するべきです。そして薬の減量含め、必要な対策をとり、要介護状態になる前に対応していくことが重要です。このタイミングを逃すと、長い要介護状態に陥る可能性が高いです。