風邪は内科・小児科?、耳鼻科?

風邪、内科、耳鼻科で検索をすると、複数の医療機関がこの内容で記載をしています。風邪をひいたときにどちらをかかるべきか、悩むと思います。当院は医療モール2階にありますが、1階は耳鼻科なので、さらに悩むと思います。

医師にアンケートを取ると、どちらでも良いと思うというのが大半を占めます。そして耳鼻科医は耳鼻科で、内科医(小児科)は内科で、と答えると思います。少し理論的に説明をしていきます。

耳鼻科で診るべき風邪は?

風邪は、急性扁桃炎、急性咽頭炎、急性喉頭炎、急性副鼻腔炎、急性気管支炎などの総称です。大半はウイルス感染で、一部に細菌感染症であると言われます。ウイルス感染の場合には、何もしなくても、数日で症状は軽快します。

一方で、急性喉頭蓋炎という喉の奥が腫れてしまうような風邪、咽頭周囲膿瘍といった喉に膿を持つ風邪など、生命にかかわる風邪も存在しています。生命にかかわる風邪の診断には、耳鼻科用ファイバースコープなどでの診断が必要になります。改善しないような風邪の場合には耳鼻科に行くように、とされています。

また、耳鼻科では、鼻水の吸引や、ネブライザーという治療があります。

内科で診るべき風邪は?

咳が酷い場合にはレントゲン撮影をします。肺炎の方がいるからです。また御高齢者の風邪や、ぐったりしてしまうような風邪に対しては点滴をした方が改善が速いです。そのようなときには内科の方が治療に適しています。

溶連菌感染後の尿検査は耳鼻科ではやっていないことが多いので、子供の扁桃炎感染は小児科の方が良いのかなと思います。

どうすれば良い?

命にかかわるような風邪の割合は、1%に満たないと思います。そして、命に係わるような風邪の場合には(耳鼻科通院ではなく)入院加療が必要になります。

また鼻の吸引は、その瞬間しか改善しません。確かに楽になると思いますが、短時間のみです。ネブライザーの効果については、効くというエビデンスは存在しません。ガイドライン上は、”昔から実施されている治療であり、効果がある可能性がある”、という位置づけです。

このことから、風邪に対する耳鼻科での専門処置はほぼ不要で、内科でも耳鼻科でも処方薬での改善を目指す形になるので、”どちらでも良いのではないか”というのが結論だと思っています。つらいときに待つとさらに悪化するので、待ち時間の短い科を受診するのが良いのかもしれません。

以上のことから、

花粉症の時期の耳鼻科繁忙期(2月~5月頃)は内科や小児科で、内科・小児科の繁忙期(冬)は耳鼻科で良いのかなというのが個人的な思いです。

御高齢者の風邪(点滴が必要なことがある)や、子供の喉風邪(溶連菌感染チェックやその後の尿検査など)は、内科や小児科が望ましいです。

当院では

必要に応じてレントゲン撮影や点滴治療などを実施して、早期改善を目指します。

また、若い人の風邪に対しては、1回の通院で改善できることを目標に、薬剤調整をしています。そのため、少し長めに(数日の余裕をもって)処方をしていることが多いです。

ご家族全員を拝見しながら、お父さんはこの風邪だったし、お子さんはこういう病気かもね、と治療の調整をできることがファミリークリニックの利点かなと思っています。