老年内科とは
老年内科は、主に65歳以上の方を対象にした内科で、ロコモティブシンドロームなど加齢による様々な健康上の悩み、介護の問題などに、幅広く対応できる診療科になります。
ご高齢の方の多くは個人差こそあるものの、複数の内科的疾患を併発されています。また、もの忘れなどの認知機能障害が出現する頻度も高くなるほか、症状が出にくいという特徴もあり経過観察をしていたら、違う病気も併発して重症になったというケースも少なくありません。
このほか、薬の副作用が出やすい傾向があるほか、処方される薬が多くて、それらを飲みすぎることで不調になることもあります。当診療科では、こうした高齢者の特徴を十分に把握したうえで、医師による診療を行います。
このような症状が見られたら、お早めにご相談ください(例)
- いくつかの症状が重なり、どの科を受診したらよいのかわからない
- 体調が悪いが、どこが異常かわからない
- 複数の臓器の疾患を、総合的に診てほしい
- 体力の減退、食欲の低下、物忘れをよくする
- 歩行に支障がある、よく転倒をする
- 健康診断で異常を指摘された
- 病気とリハビリ・介護のことで相談したい
など
老年内科でよく見られる症状
ロコモティブシンドローム
ロコモティブシンドロームとは
ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome、略称:ロコモ、和名:運動器症候群)とは、主に加齢による筋量の低下(サルコペニア※)、関節や脊椎の病気(変形性関節症)、骨粗しょう症(骨量の減少)などが原因で運動器の機能が衰え、要介護や寝たきり状態になっている、もしくはそのリスクが高い状態にある場合を言います。
運動器の機能の衰えとは、筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器のいずれか、もしくは複数に障害が起こり、「立つ」、「歩く」といった機能が低下している状態です。進行すると次第に日常生活にも影響を及ぼすようになります。早い方であれば50代からロコモの可能性が疑われるようになります。
なおロコモは、「メタボリックシンドローム(メタボ)」や「認知症」と並び、「健康寿命の短縮」、「寝たきりや要介護状態」の3大要因のひとつになっています。
最近、運動器が衰えたと感じる、バランス機能が低下しているのかつまずきやすいなど、自らがロコモかどうか心配という方は、日本整形外科学会公認のロコモティブシンドローム予防啓発公式サイトにある「ロコチェック」にて、そのような状態にあるかどうかご確認ください。
体を維持するためには、しっかりと食事をする、運動をする、日常生活をしっかりと続けることが重要です。そのための運動の指導や、日常生活を楽しく維持するために介護保険サービスをどう利用すればよいのか(運動中心のデイサービスの利用など)をご案内していきます。
※サルコペニア:骨格筋が萎縮することを言います。誰しもが加齢に伴い筋量や筋力は低下していきます。50歳を過ぎると、平均で下半身は約50%、上半身は約20%、その後は毎年約2%ずつ低下するといわれています。老年症候群(フレイル)については、運動療法により、遅らせることは可能です。AWGS(アジアサルコペニアワーキンググループによるアジア人診断基準)では、60-65歳で、握力が男26kg、女18kg以上、歩行速度分速48m以上を正常としています。