高血圧とは
60歳以上の方の3分の2以上が高血圧とされ、また日本人の死因に多い脳血管障害の原因でもある高血圧症は、国民病と言える状態になっています。国民病である一方で、治療を受けていない方も非常に多いといわれています。
基準値
診察室血圧が140/90mmHg、家庭血圧が135/85mmHg が基準値です。診察室のような緊張する環境では血圧が上昇するため、診察室と家で差が付けられています。緊張が強い方は、診察室の血圧が上昇しやすく、白衣高血圧と言います。
降圧目標
診察室血圧が130/80mmHgで、家庭血圧が125/75mmHg。糖尿病や脳梗塞の既往などのハイリスクな方はさらに下げていきます。75歳以上の高齢者の降圧目標は140/90mmHg未満、さらにハイリスクな人は降圧目標が130/80mmHg未満とされています。
降圧治療の今後の流れは?
昔のガイドラインでは、血圧が低すぎると寿命が短くなるとの統計結果から、下げすぎてはいけないと長らく言われてきました。血圧が低い人は人数が少なく、1人でも病気を有している人がいると、統計的にぐっと悪い結果になってしまいます。そこで低血圧の方を大勢集めて統計を取り直したところ、低血圧に起因する病気は無く、血圧は低ければ低いほど長生きをするとの結果に至りました。
世界のガイドラインでは130/80mmHg以上を高血圧と変え、多くの方に治療を受けてもらうことを推奨しています。
日本には高血圧なのに治療を受けていない人が1500万人程度いると言われており、健診などを介して、積極的に治療を受けていただく必要があります。
治療は?
減塩で血圧は5mmHg程度低下します。また運動で5〜10mmHg程度低下します。
生活習慣の改善で10〜15mmHg程度低下するわけで、生活の改善が重要です。
※高血圧の正式名称は”本態性高血圧”です。本態性とは原因がはっきりせず、加齢に伴う変化であろうとされていると理解して頂いて良いです。
一方で原因のある高血圧があります。これを”二次性高血圧症”と言います。一番多いのが原発性アルドステロン症です。若年者で、体も痩せている、それなのに高血圧、という場合には血液検査で調査することをお勧めします。
注意すること
早朝高血圧に注意が必要です。
一日中血圧が高い人と、早朝に血圧があがる人がいて、危険なのは早朝高血圧です。
体が起きたと交感神経が興奮して血圧が急上昇しますが、その際に脳梗塞や心筋梗塞が起きます。そのため、これらの病気は朝に多いとされます。早朝高血圧の方は眠る前に薬を飲みます。一日中高い人は朝薬を飲みます。どちらなのかを判断するためには家での血圧測定が重要になります。
血圧が高いけど、大丈夫??
調子が悪くて血圧を測ったら180だったという方がいらっしゃいます。問題ありません。血圧が高いことで体が壊れるというエビデンスはありません。実は、高血圧のせいで病気になったというのを経験した医師はいないとされます。
180/120程度まで上昇すると危険ではないかとされていますが、これも循環器の医師の経験に基づくもので、エビデンスはありません。この際によく話に出るのはキリンです。キリンは首が長いため、血圧は250くらいありますが、だからといって倒れることはありません。
体調が悪い➡︎体が頑張る➡︎血圧が上がる、とされています。体調が悪いことを治せば、血圧は下がります。
最後に
高血圧は国民病です。長らく高血圧が続くと、血管への負荷により動脈硬化に至ります。血圧高めと言われている方が、一度ご相談に来院頂くと良いです。