糖尿病について ①
生活習慣病は、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症をさしますが、その一つ糖尿病について記載します。
以前勤務していた県立病院の時は、糖尿病教育入院を担当していました。その時の経験も記載しようと思います。また 糖尿病は昨今治療法が変わりました。 治療法が変わったことも記載していきたいと思います。
①糖尿病とは
体内に糖分が入ると、それがインスリンというホルモンの働きで消化され、エネルギーになります。余分な糖分はインスリンの働きで肝臓に蓄えられていきます。そして一部が尿中に排泄されていきます。
血糖代謝を回すものはインスリンのみです。一方で、血糖を上げる方向にもっていくホルモンは多数あります。そのため、糖尿病になりやすいです。人間の体が、基本的には余りカロリーを取らないように作られているため、下げるのはインスリンのみなのだろうと思います。
インスリンが出ない(1型糖尿病)と、糖分の利用も貯蔵も出来ないため、著しい高血糖や低血糖を繰り返します。
多くなった糖分の影響で、血中の浸透圧が上昇します。浸透圧は2×Na+血糖値/18+BUN/2.8で計算します。浸透圧を決める大きな要素がNa(つまり塩分)と血糖値と言われます。高血糖は血液の浸透圧を上げ、細胞から血液に水分が引き込まれます。そして脱水になり、意識障害を引き起こします。1型糖尿病が発症する際、血糖値は600にも1000近くにも上昇するため、急激な脱水で意識消失になります。
もう一つの糖尿病は、2型糖尿病と言われる、生活習慣病になります。インスリンが肝臓で働きますが、脂肪肝の場合は油で肝臓が満たされているため、インスリンが作用しにくくなるのではないかと考えられます。また食事摂取量が多いため、常に血液内に糖分が満たされており、それもインスリンの効果を落とすとされます。
糖尿病になると、血中の糖分を利用すること、余剰な糖分を肝臓に貯留することができなくなり、結果として尿中に大量の糖分が流れ込み、甘い尿になります。昔は尿をなめて診断していた名残で、糖尿病という病名がつけられています。
糖尿病のコントロールが悪い方、治療をしていない方に蓄尿をしていただくと、尿中に30~50gほど(スティックシュガーが1本3g)の糖分が出ています。カロリーにして150キロカロリー以上です。糖が流れていくので、痩せていきます。
②糖尿病はなぜ治療が必要?
一つは糖尿病そのものの害を防ぐため、もう一つは合併症を防ぐためと言われます。
・糖尿病そのものの害
⇒高血糖による意識障害が主になります。1型糖尿病では病気の発症が急なので、特にこの症状を認めます。2型の場合は徐々に症状がでるため、自覚していない方が多いです。また糖分をうまく消化できないため、体内に貯留している脂肪や筋肉を燃やすため、痩せていきます。また体がつる、動かないなどの症状になります。”歩けなくなった” ”目が見えにくくなった” ”体がだるい”といった症状で患者さんが受診なさったことがあります。
・合併症
網膜症、神経障害、腎障害、大血管障害になります。糖尿病は血管の病気と称されています。
<網膜症>高血糖により血管がドロドロになり、めぐりが悪くなります。酸欠になってしまうため、目を守ろうと新しい血管(新生血管)が生えてきます。しかし、この血管はもろいため、簡単に破れてしまい、出血に至り、失明します。現在失明の原因の1番は糖尿病性網膜症です。
糖尿病を有している方は3~6カ月に1回は眼科にいく必要性があります。
<神経障害>
糖尿病の罹患歴が7年を超えると、神経障害が出現します。足の感覚が鈍くなります。温痛覚が鈍くなるため、火傷したり、傷ができても気づかない方がいます。気づいたときには病気が進み、切断に至ることがあります。定期的に足に傷がないかをチェックする(毎日風呂で足を確認する)ことが重要です。
<腎機能障害>
血中に糖が大量に入り腎臓に流れてきます。糖は非常に大きな分子なので、腎臓のフィルターに詰まっていきます。結果として腎臓の機能が悪化していきます。最終的に透析に至る方が多いです。透析をしている一番多い原因は糖尿病です。尿中のアルブミンの測定し、必要に応じて薬を導入することで、透析に至るまでの時間を延ばすことができます。
<大血管障害>
脳梗塞、心筋梗塞です。
治療については、糖尿病②で記載します。