薬はどうやって調整する? <フレイル予防の観点から>

薬の調整は、①減量する、②必要な薬を追加する、ことになりますが、そのポイントなどを記載します。

①薬を減量するタイミングはいつか?


飲むのが大変になった時、に減薬をするべきと思っています。
飲みたくない、飲みにくいと思いながら飲んだ薬は副作用が強くなる印象があります。
薬を飲むのが大変になったとき、主治医に伝えるようにしてください。
治療に口を挟むなと怒る医者がいますが、それは老年内科について理解が乏しいと考えられますので、クリニックを変えることも検討下さい。

②フレイルを改善する薬はあるか?


・ドグマチール(スルピリド)
食欲を改善される目的で、よく処方をされます。肉体的にも精神的にも持ち上げてくれる薬になります。うつ状態に対しても効果があります。また効果を数日で認めるため、まずは処方する事が多いです。
ドグマチール50mg 1日1錠で処方し、効果がある場合は0.5錠に減らして維持をします。
長期内服でパーキンソン症状(震える、活動性が低下するなど)が表れる場合があり、慣れている医師での処方が望ましいです。

・人参養栄湯
最近注目を浴びている漢方です。人参を始めとする生薬10種類以上を配合し、虚弱、フレイルに効果があるとされます。
広範囲の方に効果を認める一方で、漢方ゆえに飲みにくいのが欠点とされます。
まずはドグマチール50㎎で開始し、効果があれば25㎎に減量して維持。その間に介護調整をして、安定したら人参養栄湯というのが流れかと思っています。

③改善しないこともある?


残念ながら、改善しないことはあります。
”老衰”という診断名があります。これは老化により衰弱した状態、つまりフレイルのさらに進んだ状態です。
老衰の方を解剖すると、約3割は癌であったという報告があります。
ちなみに、認知症を有している癌患者は、認知症を有していない方と比べ、麻薬の使用量が半分以下という報告があり、高齢者、特に認知症を有している場合には、癌になっても症状にならず、ただ衰弱していくという経過をたどることがあります。
介護調整や薬調整でフレイルの予防、進行を食い止めるようにしていきますが、それでも進んでしまう場合には、”癌”の存在を考えるべきです。

では、”癌”が存在している可能性を考えて精査をするべきか?
衰弱した方で癌が見つかっても治療が難しいことが多いです。そのため、CTなどの更なる検査をするのかどうか、ご家族とともに話し合っていく必要性があります。