頭が痛い

最近、頭痛で来院なさる方が増えてきました。今日は頭痛について。頭痛の分類が最初にされたのは紀元前とされ、昔からある病気です。今回は頭痛のガイドラインをもとに、記載していきます。

危険な頭痛

殆どの頭痛は危険ではありません。危険な頭痛は、脳出血やくも膜下出血に伴う頭痛で、二次性頭痛(原因のある頭痛)といわれます。頭痛を症状の1つとした頭の病気です。

突然の頭痛、今まで経験したことがない頭痛、いつもと様子が異なる頭痛、神経症状(麻痺など)を伴う頭痛、などでは危険な頭痛を考えます。くも膜下出血などを疑い、病院に搬送します。

クリニックに来ることができる(救急車に乗らない)人は、殆どが安全な頭痛とされます。

安全な頭痛

一次性頭痛ともいいます。片頭痛や肩こり頭痛が主です。割合としては、片頭痛が頭痛の45%くらい、肩こり頭痛が40%くらいと言われます。

A. 片頭痛について

日本では約8%の人が片頭痛に悩まされているとされます。出産可能な女性に多いとされる疾患です。”片”方に生じることが多いために片頭痛といいますが、実際は両側に自覚する方が1/3程度います。動脈に接した神経が圧迫をされることで頭痛を感じるため、動脈の波動である”ドクン、ドクン”というような拍動性の痛みを感じる方が多く、この痛みが強いため約8割くらいが生活に支障をきたすというアンケートもあります。

片頭痛には予兆を感じる方がいます。予兆がある方は片頭痛の3割程度です。目の前がちかちかする、変なにおいがする、痺れを感じるなどの予兆の後で頭痛が発生します。

<治療>

頭痛のガイドラインによる治療薬のグループ分けです。トリプタンが一番効くとされ、次に痛み止めになります。また制吐剤(プリンペランなど)を併用すると効果が良いとされます。

トリプタン:イミグラン、ゾーミック、レルパックス、マクサルト、アマージなど。イミグランは点鼻薬もあります。マクサルトやゾーミックは口腔内崩壊錠があります。ゾーミックやマクサルトは効果が強いですが、倦怠感などの副作用が強いです。レルパックスは即効性に優れ、アマージは効果持続時間の長さが優れています。欠点は薬価の高さです。イミグランの内服薬・ゾーミックの口腔内崩壊錠・マクサルトの錠剤は後発品が出ていますが、それでも1錠約300円。それ以外は1錠700円程度します。

痛み止め:ロキソニン、ボルタレン、カロナールなど。痛み全般に効きます。市販薬でも手に入ることと安いことがメリットです。1錠5~10円です。

吐き気止め:プリンペランなど。単独では効果が弱いですが、1錠6円くらいです。

⇒上記より、痛み止め+吐き気止めを痛み止めとしてメインに使用し、強い片頭痛のときにはトリプタンを使用するのが一般的です。

<予防期の治療>

予兆のある方は、予防薬を服用する選択肢もあります。予防薬としてはエルゴタミンが主です。予兆のある場合には有用である可能性があります。

エルゴタミン:クリアミンなど。鎮痛薬+カフェインです。予兆を感じた際に頓用で内服します。1錠7~10円。

B. 肩こり頭痛(筋緊張性頭痛)

頚の筋肉や後頭部などの筋肉が凝ると頭痛として感じます。

目の周りと後頭部に筋肉が発達しているため、こめかみ付近の痛み、後頭部の痛みを感じる方が多いです。

筋肉の血流の悪さによる凝りが原因であり、入浴をすると楽になります。一方で片頭痛は血管拡張による痛みなので、入浴によりさらに血管が拡張して痛みが増すことがあります。

<治療>

肩こりを治すことが重要なので、肩を回したり、整体に行ったり、運動をしたり。

薬では痛み止めが主体です。急性期の肩こりには葛根湯が効きます(エビデンスはありません)。また緊張が強い方はデパスといった安定剤が効きます。デパスは、精神的にも肉体的にも緊張をとることが出来ます。あとは湿布が効きます。

⇒葛根湯7.5g 分3×7日間(短期間しか効果が出にくいため)、ロキソニン 疼痛時、デパス0.5㎎ 眠前(疲れがたまったときに眠前に内服)、適宜湿布

C. 薬の乱用による頭痛

痛み止めを使用する頻度が高いと、痛み止めが痛みを引き起こすことがあると言われています。そのため、痛み止めは必要最低限にするべきです。この薬の乱用による頭痛はかなりいると想定されています。薬の飲みすぎが頭痛につながることを理解して、痛み止めは内服しましょう。

D. 子供の頭痛

小児片頭痛の急性期治療の第1選択薬として、イブプロフェン(ブルフェンなど)とアセトアミノフェン(カロナールなど)が効果的で安全な薬剤であり、イブプロフェンは最良とされます。まや小児片頭痛にスマトリプタン点鼻薬(イミグラン)が有効かつ安全な薬剤であり、錠剤ではリザトリプタン(マクサルト)が有効かつ安全です。