うつ病、不安神経症の治療について

始めに

まず、何故不安を感じるのか。
昔はうつ病の治療といえば、心理療法が主でした。箱庭療法とか、色々あります。
最近では、うつ病のメカニズムとしてセロトニンというホルモン量の調製がうまくいかないのが原因だろうとわかり、主にセロトニン量を調整する薬を使うことが治療の中心になりました。

つまり、精神的に弱いから心理療法で鍛えていくという治療よりも、頭の中のホルモン調整がうまくいかないのが原因であり、それを治療しようという方向に大きく変化をしました。

最近ではストレスが大きいこと、周りを気にする優しい人が増えたことから、発症者が増えていますが、薬で大部分は良くなります。
具体的な薬です。

1. SSRI

セロトニン量を調整する薬です。主にこの薬剤を使います。どれを選択するのか、経験を元に記載します。

①ジェイゾロフト
副作用が弱く、使いやすいです。効き始めるのに2~3週間かかるのがネックです。レクサプロの販売開始になる前には主に使われていましたが、最近は処方が減っています。

②パキシル
効果が強いです。持ち上げる効果が強いので、躁転といって、ハイになることがあります。ハイになった際に自殺を図る方がいるとされます。理由もなくハイになった過去がある方には処方しません。
死にたい、具体的な死に方を考えている方には、よく処方します。薬を減量する際に慎重にやらないと頭痛や吐き気の原因になります。うつ症状の強い・長期間内服すると予想される人に主に処方しています。

③レクサプロ
副作用が弱いです。安全に処方できるため、最近では一番処方されている薬剤です。新規に処方される抗うつ薬の半分以上をレクサプロが占めていると思われます。副作用の弱さ、内服後数日で不安感が改善する良さ、スタートの用量(10㎎)で十分な効果を感じることができることが、この薬のメリットです。私が処方している抗うつ薬は、7割レクサプロ、3割リフレックス、稀にパキシルです。

イメージで言うと、急いだ方が良いときや症状が大きいときはパシキルを、それ以外ではレクサプロやジェイゾロフトを選択することが多いです。
これらの薬剤は、飲み始めた時に吐き気や頭痛がでる方がいること、急にやめると激しい頭痛になること、薬が効いてくるのに数週間かかることがネックになります(レクサプロは副作用出現の可能性は非常に低いです)。
医師の指示を守り、自己中断しないようにしましょう。

2.リフレックス

抗うつ薬の一種ですが、様々な受容体に作用するので、上述のSSRIとは別の扱いになっています。この薬の良さは、非常に良く眠れることです。さらに睡眠薬同様に、飲んだり、中止したり、減量したり、増量したりというのを自由にやることができることがメリットです。全く眠れないという方も、リフレックスを服用すれば、ほとんどの方が眠れるようになります。デメリットは、飲み始めた3日間、眠くて眠くて仕方がないことです。

3.ドグマチール

昔からある精神を持ち上げる薬です。少量で胃薬として、中等量で抗うつ薬として、大量で統合失調症の薬として、以前より使用されてきました。
実際には0.5錠程度で効くとされます。
SSRIの副作用である吐き気を抑える効果があること、即効性があることから、SSRIと併用してスタートします

薬の副作用は、過食ぎみになることと、生理がとまり母乳がでること、震える事があることです。
食欲や活気を持ち上げるために過食になりますが、内服をやめれば治ります。
母乳を出すプロラクチンに構造が似ているので、母乳がでて生理が止まります。
震える事がありますが、高齢者では注意が必要です。
SSRIとドグマチールで始め、内服から数週間でSSRIが効いてくるタイミングでドグマチールを止めるのが、良い使い方だと思います。

4.その他の薬

他にも、三環系抗うつ薬など、むかしから使用されている抗うつ薬は複数あります。効果も良いですが、副作用も強いので、基本的には使用しません。レクサプロ、リフレックス、パキシルで殆どの方の症状はコントロール可能です。

※サインバルタという薬があります。痛みやしびれをとる効果があり、整形外科領域で良く使用します。痛みを伴う、気分の変化には良い薬です。

※セロクエル(クエチアピン)を服用なさっている方も多いです。非常に良い薬です。妄想を抑える効果が強いです。また強い抗うつ効果もあるため、妄想、うつ症状の強い方に処方をします。精神的に苦しくなると、自分自身を責める妄想というのを認める方が多いです。進行すると、私は悪い人だ、警察を呼ぼうといった妄想になります。また、私は病気に違いないという妄想もあります。

薬を中止するタイミング

薬をやめるタイミングですが、安定したと思ってから半年後あたりから減量を開始するのが良いです。早すぎると、体や心が辛かったときのことを覚えているので、振り返してしまいます。

※安定剤について
次の項目で記載しますが、内服を最低限にするべきです。

※当院について

当院は内科の医療機関です。ただ、肉体的な病気と精神的な病気は双方向に関わると思っており、一般内科の治療も心療内科の治療もやっています。また最初から精神科や心療内科に行くのはハードルが高いと思いますので、まずは当院のような、心療内科に理解のある内科を受診いただくのが良いと思っています。ただ、妄想を伴う方、入院が必要なほどの方、カウンセリングが必要な方など、精神科で加療をするべきと思われる方は他院をご案内する可能性があります。

肉体疾患、精神疾患の区別はできないと思っており、一般内科として不安、うつ、不眠などを拝見しています。そのため、精神科クリニックで算定する精神科通院加算は算定していません。同様の観点から自立支援制度は利用していません。